緩慢凍結法

 

緩慢凍結法とは

緩慢凍結法(Slow Freezing)は、細胞や生物組織を凍結するプロセスの一種です。主に生物学や医学の分野で使用されます。緩慢凍結法は、細胞や組織内の水分を凍結させる際に、急激な温度変化を避け、細胞や組織の損傷を最小限に抑えることを目的としています。

 

緩慢凍結法の基本的な手順は以下の通りです。

 

1. 冷却段階

細胞や組織を冷却してゆっくりと低温に達するようにします。通常、液体窒素や液体窒素冷凍機を使用して、温度を段階的に下げます。

 

2. 氷結防止剤の使用

氷結防止剤(凍結防止剤)を使用して、細胞内の水分が凍結する際に氷晶が形成されるのを防ぎます。これにより、細胞の損傷を最小限に抑えることができます。

 

3. 凍結の維持

一度低温になったら、その温度を一定に維持します。この段階では、凍結が安定して続くようにします。

 

4. 保存

凍結された細胞や組織は、液体窒素などの低温保存装置で保存されます。これにより、生物材料が将来使用される際にも機能を維持できるようになります。

 

緩慢凍結法は、細胞や組織の構造や機能を保持する上で有用であり、細胞保存や組織移植などの医学的な応用に広く利用されています。

 

緩慢凍結法では、細胞を非常にゆっくりと凍結させることが特徴です。通常、凍結速度は1℃から数℃毎に数分または数十分ごとに段階的に行われます。この過程で、細胞内の水分が凍結する際に氷晶が形成され、それが細胞内の構造に損傷を与えないようにします。

 

一般的に、緩慢凍結法では-1℃/分での凍結速度が推奨されています。このスローペースな凍結により、細胞内の水分がゆっくりと凝固し、氷晶の形成が制御されます。急激な凍結は細胞に損傷を与えやすく、それを避けるためにはこのような緩やかな凍結プロセスが重要です。

 

凍結速度の適切な調整は、細胞や組織の特性によって異なり、最適な条件は特定のサンプルに合わせて調整されることがあります。これにより、凍結と同時に氷晶の形成を最小限に抑え、凍結による細胞損傷を最小限にすることが可能です。

 

緩慢凍結と急速凍結の違い

緩慢凍結と急速凍結は、細胞や組織を凍結する手法で異なります。緩慢凍結は非常にゆっくりとした凍結速度で行い、氷晶の形成を制御し、細胞損傷を最小限に抑えることを目指します。一方、急速凍結は非常に迅速な凍結速度で行い、氷晶の急激な形成が損傷の原因となることがあります。適切な方法は、細胞や組織の特性や使用目的によって異なります。

 

細胞凍結保存における緩慢凍結と急速凍結の違いは、主に冷却速度と、その結果生じる細胞内外の氷結晶の形成にあります。

 

緩慢凍結

緩慢凍結では、細胞外の水が最初に凍結し、浸透圧の不均衡が生じることで細胞外に水分が排出され、細胞内の脱水が起こります。このプロセスでは、細胞内の氷の形成は最小限に抑えられますが、溶質濃度の影響は大きくなります。過度の脱水は、生存不可能な細胞につながる可能性もあります。緩慢凍結では凍結保護剤が使用され、培地の凝固点を下げることで冷却速度を緩やかにし、細胞を損傷させる氷晶形成のリスクを大幅に低減することができます。

 

急速凍結

急速凍結は、浸透圧によって引き起こされる脱水による細胞の収縮がほとんど、あるいは全く起こりません。しかし急速冷却速度では、細胞内氷のランダムな形成が起こります。この方法では、氷が均一に形成されるため溶質濃度の影響は最小限に抑えられますが、水分が細胞外に移動する時間がないため、細胞内氷の形成は最大になります。

 

緩慢凍結と急速凍結の選択は、細胞やサンプルの種類、バイアルまたはバッグの容量、処理能力、利便性など、さまざまな要因によって決まります。

 

緩慢凍結法のメリット

 

細胞の損傷を最小限に抑える

緩慢凍結は非常にゆっくりとした凍結速度で行われるため、細胞内の水分がゆっくりと凝固し、氷晶の形成が制御されます。これにより、急激な温度変化による細胞の損傷が最小限に抑えられます。

 

保存後も機能が保たれる

緩慢凍結により、細胞や組織が凍結後も保存中に機能を保持しやすくなります。この特性は、生物学的な実験や医学的な応用において重要です。

 

一定の条件下で長期保存が可能

緩慢凍結された細胞は、液体窒素などの低温保存装置で保存され、一定の条件下で長期間保存できる可能性があります。これは、生物サンプルの長期保存が必要な場合に重要です。

 

標準的な実験手法との組み合わせが可能

緩慢凍結法は一般的に使用される実験手法と組み合わせやすく、実験の柔軟性を保ちながら細胞や組織を保存できます。

 

これらのメリットにより、緩慢凍結法は細胞保存や組織保存、移植などのさまざまな生物医学的なアプリケーションで広く利用されています。

 

緩慢凍結法のデメリット

 

時間がかかる

緩慢凍結はゆっくりとした凍結速度で行われるため、プロセス全体に時間がかかります。急速凍結法と比較して処理時間が長いことがあります。

 

機器が必要

凍結プロセスを制御するためには特別な冷却機器や凍結容器が必要です。これらの機器の取得や維持にはコストがかかる場合があります。

 

氷晶の形成が避けられない

緩慢凍結法でも完全に氷晶の形成を避けることは難しく、一部の細胞では氷晶による損傷が発生する可能性があります。

 

細胞の種類による適用範囲の差異

すべての種類の細胞やサンプルが同様に緩慢凍結に適しているわけではなく、一部の特定の細胞や組織には適さない場合があります。

 

特定の実験条件での制約

緩慢凍結法で保存された細胞は、一般的に特定の条件下での実験や応用に限定されることがあります。

 

これらのデメリットは、具体的な実験の目的や使用状況によって異なり、急速凍結法や他の冷凍保存法と比較して検討する必要があります。

 

プログラムフリーザーによる緩慢凍結法

プログラムフリーザーは、緩慢凍結法に使用される装置や機器の一種で、プログラムされた凍結プロセスを実行するための専用機器を指します。プログラムフリーザーは、凍結の段階や速度を制御し、特定のプログラムに基づいて細胞や組織を凍結するための装置です。

 

プログラムフリーザーには、以下のような特徴があります。

 

凍結プログラムが可能

プログラムフリーザーは、凍結のプロファイル(段階的な温度変化や凍結速度のパターン)をプログラム可能な機能を備えています。これにより、特定の生物学的サンプルに最適な凍結条件を設定できます。

 

温度制御

精密な温度制御が可能であり、凍結プロセス中に温度変動を最小限に抑えます。これにより、細胞や組織の損傷を最小限に抑えつつ、安定した凍結プロセスを実現できます。

 

データ記録機能

一般的には、凍結プロセス中の重要なパラメータやデータを記録できる機能を備えています。これにより、後で実験の再現性や結果の評価に役立ちます。

 

これらの特徴により、緩慢凍結法において特定の凍結プロファイルを必要とする場合や、高度な制御が求められる場面で、プログラムフリーザーが利用されます。研究室や医学研究機関などで、生物学的サンプルの保存や実験に使用されます。

 

プログラムフリーザー – CytoSAVER

StrexのCytoSAVER(サイトセイバー)は、液体窒素を必要としないプログラムフリーザーです。CytoSAVER プログラムフリーザーは、凍結速度を自動的に制御し、安定で再現性の高い凍結保存プロセスを提供します。この自動制御機能により、異なる実験条件下で一貫して最適な凍結速度を確保し、細胞や組織の保存品質を最大限に向上させることができます。細胞を安全に凍結することは、実験や医療応用において信頼性の高い結果を得るための不可欠なステップです。凍結速度を正確に制御することで安定した結果が得られ、StrexのCytoSAVERプログラムフリーザーはその冷却速度を精密に管理し、細胞を最適な状態で凍結保存します。最適な冷却速度と温度管理により、細胞の凍結保存を迅速かつ安全に行います。

 

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